遺言書の基礎知識
遺言に関する基礎知識を解説しております。随時、記事を追加していく予定です。
目次
遺言とは
遺言は、相続に対してどのようにしてほしいかといった具体的な内容や思いを文書にして残すものです。
民法では15歳以上になれば遺言を遺すことができる旨が定められています。(民法961条)
遺言の内容は法定相続よりも優先されます。
また、遺言書は何度でも書き直すことができます。
遺言書に書けることは
遺言書に書けることの一部を列挙すると次のようなものが挙げられます。
また、遺言書とはいっても法的効果を有する内容しか書けないわけではありません。
後述しますが「付言」といったもので、法的効果はありませんが非常に大事なものがあります。
- 法定相続分と異なる相続分の指定
- 具体的な遺産の分け方の指定
- 遺贈
- 認知
- 遺言執行者の指定 など
遺言の種類
いわゆるエンディングノート等と違い、遺言には法律上の効果が発生します。
ただし、法律に則った手続きや要件に基づいて作成されなければ、効力を有する遺言とは認められず、効果はありません。
民法上、次の3つの遺言の形式が定められています。
ただし、秘密証書遺言については実務上ほとんど使われておりません。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が自分の手で書面に書き起こす形式の遺言です。
非常に安価で作ることができ、そういった意味では一番お手軽な遺言の形式です。
特徴として次のものが挙げられます。
利点
- 費用が非常に安価で済む
- 紙とペンがあれば作りはじめることができる
- 遺言の内容を完全に秘密にすることができる
- 証人が必要ない
欠点
- 要件不備により無効となるおそれがある
- 紛失、隠匿、偽造、改ざん等をされるおそれがある
- 家庭裁判所での検認手続きが必要
- 筆記できなければ作ることができない
公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証役場という場所で公証人という人に対して口頭で遺言内容を伝え、公証人が公正証書に書き起こす遺言の形式です。
費用や手間が相応にかかりますが最も実行可能性が高い、安心な遺言の形式です。
特徴として次のものが挙げられます。
利点
- 形式不備による無効のおそれがない
- 紛失、隠匿、偽造、改ざん等をされるおそれがない
- 家庭裁判所での検認手続きが不要
- 筆記することができなくても遺言ができる
欠点
- 費用がかかる
- 公証役場に出向かなければならない(原則)
- 遺言の存在・内容を完全に秘密にすることができない
- 証人が必要